2000年6月の調査「カード利用に関する調査」

 
調査内容後払い式のクレジットカード、前払い式のプリペイドカード、そして即時払い式のデビットカードと、少しずつではあるが、支払いのキャッシュレス化の波が日常生活に押し寄せ始めている中、日常の支払い(決済)におけるカードの利用の状態、またカードに対する意識などを調査。
調査対象 福井市とその近郊の企業に勤務する男女280名
調査日 平成12511日〜22
調査方法郵送にて配布、返送
回答者数男性計:74名、女性計:85名、不明1名 (計160名)
回答者の平均年齢34.1歳
回答者の内訳
(単位:人)
18-24歳25-29歳30歳代40歳代
50歳代
60歳代
既婚男性
1
3
6
18
8
3
39
未婚男性
12
10
3
2
1
0
28
既婚女性
1
3
10
11
6
0
31
未婚女性
23
24
5
0
1
0
53
性別または結婚不明
1
4
2
0
1
1
9
小計
36
44
26
31
17
4
160
 合計160名




 

1.常に持ち歩いているカード


 支払いに関するもので、ふだん常に持ち歩いているカードは、1.(銀行や郵便局の)キャッシュカード(83.8%)、2.クレジットカード(53.8%)、3.プリペイドカード(35.6%)、…などとなっている(複数回答)。「どれも必要なときしか持ち歩いていない」とした回答者は8.1%で、なんらかの支払いに関するカードを持ち歩いている回答者がほとんどだった。






2.クレジットカードの利用について


クレジットカードを保有しているのは、全体の73.1%。
そのクレジットカードを保有者がどのくらいの頻度で使用しているのかというと、「月に1回程度」が最も多く20.3%。「2~3ヶ月に1回程度」が16.1%、「月に何回も利用」が14.4%。しかし一方で、「持ってはいるが一度も使用したことがない」との回答が21.2%で、最も多い「月に1回程度」との回答とほぼ同数となっている。






またクレジットカードを使用するのは、1.現金の持ち合わせがないとき(46.3%)、2.高額な商品やサービスの支払い(40.0%)、3.海外旅行先で(36.8%)、4.国内旅行先で(14.7%)が主なもの。(複数回答)
クレジットカードの利便性と必要性に関しては、「便利ではあるが必要性はあまり感じない」との回答が最も多く、50.0%。「非常に便利だし必要」(33.9%)との回答を上回っている。クレジットカードを常に持ち歩いている回答者は半数以上ではあるが、意識としては、何かあったときに持っていれば便利、という回答者が多いと思われる。

 

 

 
 


3.プリペイドカードの利用について


プリペイドカードの利用についてだが、よく使うものは1.テレホンカード(57.3%)、2.ハイウエイカード(34.4%)、3.図書カード(21.0%)…となっている。一方で、「ほとんど使わない・使ったことがない」との回答が全体の21.0%。
またプリペイドカードを利用する理由としては、1.小銭がいらず楽だから(52.5%)、2.人からもらったから/購入を勧められたから(41.7%)、3.購入価格よりやや多めに使えるから(35.0%)、4.持っていると所持金がないときに助かることがある(21.7%)…などとなっている。(複数回答)
プリペイドカードの利便性と必要性については、「便利ではあるが必要性はあまり感じない」(48.4%)、「非常に便利だし必要」(36.9%)…となっている。クレジットカード同様、プリペイドカードの必要性についても「持っていれば何かと便利」との意識で使用、あるいは持ち歩いている回答者が多いことがうかがえる。





 




  

 4.デビットカードの認知・利用状況について


    99年1月から日本でもデビットカードの利用が開始され、今年3月には県内でも利用できる店舗が一気に拡大したわけだが、デビットカードを「知っている」としたのは全体の58.5%。「名称は知っている」としたのは27.7%で、「全く知らない・聞いたことがない」としたのは13.8%と少数だった。



 では、実際にデビットカードを使って支払いをしたことがある回答者がどのくらいいるかというと、デビットカードを「知っている」としたうちの6.5%。利用はまだまだ少ないといえる。なお、支払いをしたことがあるのはすべて女性の回答者で、洋服や鞄を購入したとの回答が見られた。


 
 また、デビットカードを「知っている」とした回答者が考えるデビットカードの魅力とは、1.現金を引き出す手間が省ける(64.1%)、2.既存のキャッシュカードがそのまま使える(53.3%)、3.現金を持ち歩かなくてもすむ(44.6%)、4.残高以上の買い物をしなくてもすむ(32.6%)…などとなっている。(複数回答)



 またデビットカードを「知っている」「名称は知っている」と回答した回答者がデビットカードを知った時期は、「数ヶ月〜半年ほど前」(23.2%)、「半年〜1年ほど前」(18.1%)との回答が多い。「知っている」とした回答者は、「数ヶ月〜半年ほど前」との回答が最も多く(26.1%)、「名称は知っている」とした回答者は、「最近〜2ヶ月以内」とした回答者が最も多い(29.5%)結果となっている。名称だけ知っている回答者は、今年3月にデビットカードが使用できる店舗が一気に増えたことによって認知するようになった場合が多いのではないかと推測される。
 どのようにしてデビットカードを知るようになったかというと、1.新聞・テレビのニュースで(76.1%)との回答が圧倒的に多く、以下、2.加盟店頭で(13.0%)、3.仕事上で(11.6%)…などとなっている。(複数回答)。




 デビットカードを「全く知らない・聞いたことがない」とした回答者は、全体の13.8%だったわけだが、それらの回答者に、デビットカードの概要を説明した上で、利用してみたいと思うかどうかたずねたところ、「利用してみたい」と回答したのが19.7%、「利用したいと思わない」としたのが39.4%、「わからない」としたのが34.8%という結果となった。
デビットカードの実状を明確に把握できていないため、「わからない」とした回答者が増えたと考えられるが、「利用したいと思わない」とした回答者についても一部同様の原因は考えられるかもしれない。




5.総括


  後払い式のクレジットカード、前払い式のプリペイドカード、即時払い式のデビットカードについて利用状況を調査したわけだが、いずれについても、現状ではまだ積極的な利用はされていないようである。
 クレジットカードでは、高額な支払いや海外での支払いなど、どうしてもそれらのカードでの支払いを迫られるような状況以外での利用はあまりされていないようにうかがえる。プリペイドカードは、便利ではあるが、それを使わざるを得ない状況は日常生活の中ではあまりなく、利便性のみの理由で利用されているように思われる。
 今回の調査では、デビットカードの認知度は半数以上との結果になった。
 クレジットカードは「与信をするカード」といえ、用件を満たさない場合に発行されない場合もあり、キャッシュカードに比べると保有者、発行枚数ともに少ないという面がある。その点では、キャッシュカードをそのまま利用できるデビットカードは、ほとんど誰もが利用できるカードとなる可能性を持っており、消費者側には新たな手続きや手数料、年会費等の負担もなく、支払いの際には暗証番号を入力するだけであるため、利便性は高いと考えられる。
 現状では、デビットカードを「知って」はいても、実際に支払いをしたことがある回答者はごくわずか。しかし今後、利用できる店舗、金融機関等がさらに拡大すれば、日常生活の中で、デビットカードを使用した支払いが増えてくる可能性はおおいにある。
 少しずつではあるが、キャッシュレス決済の波が日常生活にも押し寄せてきているのではないだろうか。


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