自信を持ってすすめた地酒に 「美味しい」とつぶやく声。
ひとり、したり顔する 店主かな。
戦後の焼け野原をリヤカーで走って
地酒を運んだ両親への想い。
〜福井の地酒水先人〜
店内には厳選した県内蔵元の銘酒がずらりと並んでいます 戦災、震災にも負けず家業を守り続けた原点の地に今も店が建っています 39歳のときに3代目を継ぎ、福井の地酒水先人になりました
 「ようこそ福井へ、地酒で乾杯!」。その土地の自然で育った食と酒を味わうのは旅の醍醐味です。特に福井は水よし、米よし、風土よしの酒どころ。地酒を出さずに福井のもてなしと言えましょうか。私は『リカーズ川ばた』の3代目、福井の地酒水先人なのですから。
 私と地酒の関係を知ってもらうには、店の歴史を語るのが一番でしょう。100年前に酒屋をはじめた川端家は、昭和20年に福井大空襲で店を焼失。出征した父の留守を預かる母は、急ぎ木材を取り寄せ、焼け野原の中でどこよりも早く店を再建しました。さらに父が帰還してすぐの昭和23年、福井大地震でまたもや店が倒壊。この時もすぐに再開し、夫婦で苦境を乗り越えてきました。私の記憶の中にもリヤカーを引いた自転車で酒蔵を回った、たくましい母の姿が焼きついています。懸命に家業を守った両親が欠かさず置いていた地酒……、私にとっては昔から特別な存在だったのです。
 私が繊維会社を退職して店を継いでからは、御用聞きと対面販売が主だった商売をお客様が商品を見て選ぶセルフ方式に変えました。今では当たり前のスタイルですが、福井で最初にはじめたのは当店なんですよ。現在ではネット通販を手がけるほか、福井駅構内のプリズム福井内で試飲ができるショップ『買う座呑む座』を立ち上げて、県外の方に地酒の魅力を紹介しています。長年の酒蔵とのお付き合いで築いた信頼関係のおかげで、入手困難な銘酒も取り揃えることができ、お客様に喜ばれています。
 日本酒の消費量は低落傾向にありますが、魅力を知れば愛してくれる人はまだたくさんいるはず。未来の愛好家と出会うためにも、父の口癖だった「商売は細く長く、信用第一」の精神で、“地酒愛”を発信していこうと思います。
(語り手/代表 川端伸雄)
リカーズ川ばた
福井市長本町102
пF0776-54-5674
営業時間:AM8:00〜PM9:00
休日:不定休
HP:http://kawavata.yypark.com/home.html