福井県と福井市に提言を行いました

高齢化社会に向けた日本一「優しい」鉄道を目指して、7月23日に福井県と福井市に対し、
福井市中心市街地周辺における「地域鉄道の在り方」に関する提言を行いました。

 今後、日本は超高齢化社会を迎え、地域交通の在り方にも大きな影響を及ぼす。総務省調査によると、総人口が減少するなかで高齢者が増加することにより高齢化率(65歳以上人口割合)は上昇を続け、平成25年には25.1%で4人に1人となり、平成47年には33.4%で3人に1人になると推計されている。
 また、福井は自動車中心の交通社会であるが、反面、鉄道基盤が残る地域でもある。こういった点では福井には公共交通機関の基盤となるインフラが既に存在していることになるが、現状のままではバリアフリー対策が不十分である等、非常に利用しにくい。
平成27年春頃には福井鉄道とえちぜん鉄道の相互乗り入れが予定され、平成28年には福井駅西口に福井鉄道が延伸されるなど、福井市中心市街地の交通結節機能の向上が期待される。これを好機ととらえ、利用者に「優しい」地域鉄道を目指して、早期に取り組むべき中心市街地周辺における地域鉄道の利便性向上策について、次のとおり提言を行う。

※今回の提言では平成27年春頃の相互乗り入れに向けて、早期に取り組むべき内容を取り上げているので、「田原町駅〜木田四ツ辻停留所」に絞った区間を対象とする。




1.停留所について

 現在の停留所については、一つには設備面でいくつかの問題がある。停留所の幅が狭く、段差があり、待合所がないなど、非常に使いづらい状況にある。特に高齢者・障害者・子供が利用するに際して大きな障壁がある。また、通行帯がない道路を渡って停留所に行く際には車両の通過が激しく危険である。
 さらに停留所の配置面での問題もある。木田四ツ辻停留所などは近くに企業・観光地などがないため利用されにくくなっている。
 これらの問題を解決していくためには、ハード整備のため多額の資金が必要となり、行政主導での取り組みが不可欠である。「官」がハード面を担い、これを活かして「民」が運行する。こういった役割分担を明確にして、「公設民営」方式で「利用者ニーズに合致した場所への停留所の新設・再配置」「停留所のバリアフリー対策」等を通じて利便性向上を図るべきである。


2.電車運行について

 田原町駅から木田四ツ辻停留所区間は道路内に線路が設けられた軌道である。そのため、交差点において自動車が軌道敷地内に進入することにより電車運行の妨げとなる場合がある。また、路盤の整備が十分ではないため、電車が揺れて、乗車時の快適性が損なわれている。さらに、大名町交差点ではスイッチバックが行われるため時間ロスが生じるなどの問題がある。
 これらを解決するためには、運転教育やルールの周知徹底を図るとともに、電車専用信号の設置や電車優先の信号処理を行うなどして、運行の定時性確保につなげるべきである。
 また、快適性を保つためには路盤の整備(電車の揺れ防止)を行う必要がある。新型車両が運行されても、路盤自体が老朽化していると、その性能も十分に発揮されない。さらに、スイッチバックによる時間ロスを解消するには、安全面に十分配慮した上で短絡線を整備するべきである。


3.事業間の連動及び事業者・行政機関の連携について

 平成27年春頃に相互乗り入れの実施、平成28年には福井駅西口駅前の交通広場が整備される予定である。しかし、こういった大きな動きと連動せずに、前述の「1.停留所」「2.電車運行」の章で記載した取り組みが個別に実施されても、利用者にとって使いやすい公共交通機関とはなりにくい。
 また、地域鉄道において、行政と交通事業者の緊密な連携は事業成功のポイントであり、各事業が機能的に連動するための基盤である。
全体最適を図るためには、行政が主導となり、交通事業者と連携を図り、一体的な事業への取り組みが求められる。


                                           平成25年7月23日
福井県知事  西川 一誠 様
福井市長   東村 新一 様

                                            福井商工会議所
                                            会頭 川田 達男


            参考資料    【 1 】    【 2 】    【 3 】

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